あの馬を忘れない

騙馬

by がりー

 

騙す(だます)馬と書いてせんばと読む。

別に人を騙すわけではなく、気性が落ち着かないために、

レースに行って集中できない馬などが去勢されるとこう呼ばれる。

最近はちょくちょく見かけるようになった騙馬。

しかしちょっと前の日本では騙馬はあまりいなかった。

競馬は優れた馬の能力を次世代に伝え、より優れた馬を生み出すことを目的に行われている。

そのため生殖能力を持たない騙馬はレースを制限され、不遇の扱いを受けていた。

しかし今ではそんな騙馬たちへの評価も変わり、ちょっと前の

マーベラスクラウンや今年大活躍のトウカイポイントのような活躍馬が現れてきている。

レガシーワールドはこういった活躍馬たちの道を開いた、騙馬の魁である。

 

レガシーは森厩舎の前身である戸山厩舎に所属し、デビュー前からその能力を高く評価されていた。

だが3歳時(現行では2歳)に走った5レースでは気性が災いし、レースに行っても結果が出せなかった。

レガシーは放牧に出された。

そして・・・

4歳(同3歳)の春の終わりに帰厩して以降、生まれ変わったように結果を出し始めた。

そう、レガシーは確かに生まれ変わっていた。

雄でもない、雌でもない去勢された騙馬に・・・。

この年から本格参戦を果たしていた私がレガシーに出会った時にはもう、

騙馬だった。

連闘した2勝目3勝目の時である。

2勝目の時に出会い、3勝目の時にはその強さに憧れた。

同じ4歳には、前年のトウカイテイオーに引き続き皐月とダービーの2冠を制覇した、

同厩舎のミホノブルボンと言うアイドルホースが存在した。

それでも私は「レガシーが菊を獲る」と思ったことを覚えている。

菊花賞トライアルであるセントライト記念では、

ダービー2着で、のちの菊花賞馬であるライスシャワーを下し勝利を収めた。

しかしレガシーの次走は菊花賞ではなかった・・・。

まさか同厩舎のブルボンのために譲らされたのか?とも思ったが、

前から気になっていた馬柱の騙の文字に思い当たった。

騙馬と言う言葉など知らなかった私は、初めてその意味を知り、レガシーの境遇を気の毒に思った。

セントライトを勝っても、騙馬であるレガシーに菊花賞への出走権は無かったのである。

いくら素晴らしい能力を持っていても、その血を次代に残すことが出来ない騙馬は差別されていた。

だがレガシーはそんなハンデをものともせず、同年の有馬では4歳で2着に食い込んだ。

年が明けても出場できるレースでは活躍を続ける。

そして秋のジャパンカップ。

前年も出場し4位と健闘をしていたが、レガシーはここで大仕事をやってのけた。

コタシャーンと言う大物を筆頭とした内外の強豪を相手に、見事勝利する。

ワールドの名前どおりに世界に羽ばたいた。

その後は目立った活躍は出来なかったが、繁殖と言う道がない以上、

レガシーは出来る限り走った。

血を残せない分、記録と記憶を残すかのように・・・。


BAKU〜競馬で爆笑   (C) 1999-2004 BAKU All rights reserved.

メニュー

メインメニュー
皆で参加イベント
姉妹サイト